「というわけで、今日は明大前のウィルコムまで行って解約手続きをしてきた」
「さらば自由と放埒の日々よ、って感じか」
「不満も多かったが、モバイル黄金時代ではあったな」
「じゃあ、解約しなければいいのに」
「ハード的にもう壊れそうな感じだったから」
「それだけ使い込んだってことだね」
「後継機が手に入るまでよくもってくれた。ありがとう! って感じだ」
「貴重な1台だね」
「いや。実はアドエス3台目」
「えっ?」
「無印W-ZERO3を入れると4台目」
「よく使ったね」
「うん。ありがとうアドエス、ありがとうウィルコム」
思い出を語れ §
「そもそも最初の発端はどうなんだい?」
「移動体通信の発端は、27MHzの子供用トランシーバーだな。小電力でほとんど飛ばなかったけど、違法CBのIがガンガン入ってきたな。そこからアマチュア無線に行った訳だ。リグはRJX-601が欲しかったけど、なぜかIC-502に行った。バリバリの移動運用前提の選定だ。というか、あれはモバイルじゃ無くて、モービルっていうんだぜ。ストロークワンだぜ」
「意味分からないけど、それはいいから。最初ってウィルコムの最初だよ」
「そうか。最初にW-ZERO3を買ったときのことはよく覚えているよ。池袋のショップが破格の安値で売っていて慌てて夜なのに買いに行ったよ。けっこう思い切って買ったんだけど、大当たりだった」
「そうか」
「それから、アドエスに乗り換えたわけだ。大きすぎてポケットがぱんぱんという問題はアドエスで解決された」
「2台目のアドエスは?」
「2台目、3台目のアドエスは、単純に壊れたから代わりをゲットしただけ。しかも、すでに型遅れの機種だから機種変更して余っているという人も多く、金を掛けずにゲット出来た。ある意味で、もっと新しい機種があるのにアドエスっていう理由はそこにもある」
「色気の無い話やなあ」
「そうだ。色気は無いぞ」
「それでアドエスはどうだった?」
「基本性能はもはや見劣りするが、使い勝手のいいバランスの取れた機種だったと思う」
「具体的には?」
「使ったのは地図とメモとスケジュールだな。地図はモバイルGoogle Mapsが割と早期に提供されて不自由は無かった。転送は遅かったけどね。メモとスケジュールは内蔵。Outlookと同期して問題なく使えた。あとは希にリモートデスクトップとかIRCだな」
「そうか、実績は良好だったわけだね」
「サービス範囲が狭いことや、転送が遅いのはまあ技術的な制約だ」
「2本指タッチ操作がサポートされていないことは?」
「全く問題になっていない」
「なぜ?」
「そもそも、画面にはめったに触らないからだ」
「なぜ触らないの?」
「正確な操作はできないし、しかも触れば汚れる」
「……」
「まあ、IS12Tは触らないと操作できないからどんどん汚れていくけどな」
「本当は触りたくないわけだね」
「そりゃそうだ。誰が好きこのんで指の脂で汚れた画面を見たいと思う」
思い出 §
「いちばん印象深い出来事は何だい?」
「そうだな。こんなところかな」
- 本体、通信デバイスを両手に持ったら操作する手が残らない問題が解決された
- キーボードが得られただけで使い勝手改善
- GPSユニット買わなくても基地局からおおまかな位置を割り出すソフトでほぼ現在地の地図が出るようになった
- 気まぐれで買った安売りメモカに入れ替えたらカメラ撮影したあとの記録時間がいきなり短縮
「いいことが多かったわけだね」
「そうさ。そうでなければこれほど長く付き合うか」
「あとからもっと優れた機種が続々と出てきたことはどう思う?」
「あとから出したら技術的に優れていて当たり前。それだけでは感動は無い」
アドエス延命の秘密 §
「結局、なぜアドエスは延命したんだい?」
「おそらくソフトの力だろう」
「どういう意味?」
「いろいろな便利ツールをいろいろな人が作った。それで使い勝手が良くなった。派手なだけの新機種とは、実質的な使い勝手が均衡してしまう」
「ソフトは重要ってことだね」
「そうだ。ハードメーカーが何でも作って完結した商品としてリリースするなんて発想はダメダメだぜ。ハードは素材。その上にどんな王国を築くかはユーザーの問題。ハード屋がでしゃばる領域じゃ無い」
「ソフト万歳ってことだね」
「ソフトがあれば、同じハードでも何倍にもパワーが増える」
「メーカーのカタログスペックをいくら見ても見えない領域ってことだね」